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社会保障費 水膨れ放置 ( 2012.02.07 )
政府・与党が決めた社会保障と税の一体改革素案。中身を検証すると、過剰給付と指摘を受けながら、詰めた議論もなくたなざらしの問題が多いことに気づく。年金では公務員が加入する共済年金に独自の上乗せ給付があり、会社員の厚生年金より手厚い。終身給付の「職域加算」だ。これを含めた年金は会社員(厚生年金の報酬比例部分)の2割増になる。
年金をもらいながら働く場合も公務員は会社員より条件が甘い。60~64歳の会社員は年金と賃金の合計額が月28万円を超えると年金額が減るが、定年退職後に民間企業に移った元公務員は46万円まで減額されない。
1960年ごろまで公務員はほぼ全額公費の手厚い恩給があった。その公費を今も年1兆数千億円、本人や遺族に支払い、今後50年で約12兆円かかる。
政府は年金の官民格差を解消する「一元化」を84年に閣議決定し、95年をめどに実施するはずだった。恩給部分のカットも検討したが、現実は先送りした。
政府は公務員年金を厚生年金に原則そろえる法案を準備している。上乗せ給付は廃止する一方、それに変わる新年金制度を作るというのが原案だ。ただ、今国会に法案を提出するというのに具体案は見えてこない。政府・民主党が官公庁の労組に配慮し、改革が骨抜きになる懸念もある。
少子高齢化に対応して年金を減らす「マクロ経済スライド」も当初は給付抑制策の柱とみられたが、具体的な検討はせずに棚上げされた
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