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雇用延長の賃金、再設計 ( 2013.02.17 )
希望者に対して65歳までの雇用延長を企業に義務付ける高年齢者雇用安定法の4月改定を見据え、IHIや三菱重工業などが雇用延長後の賃金制度を見直す。定年後に一律に給与を減らして再雇用する従来型の制度を改め、定年前の実績を給与に反映させる仕組みなどを取り入れる。総人件費増につながる制度改正にあえて踏み込み、60歳以上の働き手が持つ能力を有効活用する。
IHIは4月~59歳になった時点で定年を60~65歳の間で選ぶことが出来る「選択定年制」を導入する。従来の「再雇用制度」は60歳定年時に退職金を支給して賃金を5割に減らしたうえ、短時間勤務などを選ぶ仕組みだった。「選択定年制」では原則として60歳前と同じ業務でフルタイムで勤務できる。賃金は徐々に下がるものの、リーダー(班長)など現場の職分や評価に応じて金額を上乗せする。働きに応じて賃金が変わる仕組みだ。退職金は定年時に受け取るが原則として60歳で退職した時の額に据え置く。
三菱重工業は60歳の定年後に社員を再雇用する際、定年前の業務や役割を賃金に反映させたり、定年後も能力に応じた業務を割り当てたり仕組みの導入を労働組合に提示した。これまでの同社の再雇用制度では、給与を定年前の4割減らして1年毎に契約を更新していた。新制度でも更新期間は変わらないが、最雇用者の実質的な給与引き上げにつながる見込みだ。将来的に定年を現在の60歳から65歳に延長することを見据える。
同様の動きは急速に広がるつつある。三菱電機は2013年度から、雇用を延長した社員の給与を1012年度の年収ベースから2割引き上げる。他にもトヨタ自動車が定年後の高齢者のハーフタイム勤務の本格導入を検討したり、JFEスチールが再雇用するリーダークラスの賃金に月額3万5000円の上乗せする仕組みを導入したりしている。
その他の取り組みとして、トヨタ自動車はこれまで健康などの問題で定年退職後の再雇用が難しかった従業員向けに、清掃や緑化などの業務を用意する検討を始めた。トヨタは定年退職者を主に生産現場で再雇用している。希望者の9割以上が再雇用されるが、健康職務遂行能力、勤務態度などの基準を満たさず再雇用に至らないケースもある。こうした人に向け、清掃などの業務を用意し、受け皿とする。
また、トヨタは60歳定年後に一定額を積み立てえて定年後に受け取る退職金制度の導入を検討しているようである
在職老齢年金の支給停止を考えると、第2の退職金制度は非常に有効と考える。
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